2017/3/10 名古屋ウィメンズマラソン前々日
名古屋ウィメンズマラソン2017展望B
清田が、キルワのペースに乗ることを明言
追われる立場になったプレッシャー克服が課題か
前回初マラソンながら日本人3位(2時間24分32秒)の清田真央(スズキ浜松AC)が、招待選手会見で言い切った。
「目標タイムは2時間22分30秒、順位は日本人トップ、もしくは優勝です」
中間点を1時間10分30秒〜11分00秒で通過する予定(最終決定は前日のテクニカルミーティング)のペースメーカーについていくことも明言した。
「キルワさんのペースについて粘っていきたい。中間点と、30kmからがポイントだと思っています」
スズキ浜松ACは2010年から実業団を離れ、実業団駅伝に出場しなくなった。それだけが理由ではないが、里内正幸コーチが指導するようになり、世界で戦うことだけを目標に積極的な姿勢で強化をしてきた。トラックでもつねに積極的な走りをすることで、チーム全体がレベルアップしてきた。陸連がネガティブスプリットのペースメーカーを設定しても、チームの姿勢を放棄するわけにはいかないのだ。
まさにマラソン向きの選手である。
タイプとしては持久型だが、それでいて1万mで31分44秒79のスピード持つ。昨年11月の東日本女子駅伝では田中智美(第一生命グループ)を圧倒して区間賞を獲得。
一番の強みは何か? という質問に、清田は以下のように答えた。
「故障をしないで淡々と練習を積むことができています。その分、距離を踏むことができる」
スズキ浜松ACの里内正幸コーチによれば「昨年の名古屋の後に血液検査をしても、データが通常時とそれほど変わっていなかった」と、データもそこを証明している。
食事をたくさん食べられることも、マラソン選手として期待できる部分だ。「アニメに出てくるようなご飯の盛り方で食べる」(里内コーチ)という。
50km走は大半の選手が尻込みする練習だが、清田は初マラソン前も、今回も12月に行っている。前回は3時間23分台だったが、今回は3時間19分台だった。
「前回はコーチに声をかけてもらって気持ちで走っていた部分がありましたが、今回は淡々と走ることができ、後半は自分で自然と上げられました。力がついたと感じられる50km走になりました」
里内コーチによれば「50km走をやったからマラソンが走れる」という考え方ではない。「清田に足りないのは走力よりもメンタル。自信をつけさせるための50km走です」と説明した。
強いて弱点を挙げるなら、里内コーチが話したメンタル面だろうか。大舞台に緊張しやすく、昨年の名古屋のレース前もかなりの緊張だった。2回目の今年は緊張が和らぐはずだが、小原怜(天満屋)が直前に欠場を発表したことで、プレッシャーが大きくなったという。
「注目が清田に集中してしまって、今回のような重圧の中で大会を迎えるのは初めてのことです。キルワ選手へ挑むことを頭に描いていますが、小原さんが一緒に行くものと思っていたはずです。小原さんは自分より上、という意識もあって、それを超えていきたいという思いも持っていました。そこを切り換えさせているのですが」
清田本人も「刺激として1週間前に5000mと、昨日2000m+800 mをやりましたが、ガチガチでかなり肩に力が入っていました」と言う。
だが、ずっと緊張していたのは昨年も同じ。里内コーチは「レース前2日間で緩和させようとしましたが、アップでまたガチガチになっていました。そこは変わらないのかな」という指摘の仕方もした。
国際舞台で活躍するためには、必ず通る関門でもある。清田がさらに一皮剥けるために、2度目のマラソンでの日本人トップ候補筆頭というポジションになった。
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